蜜月なカノジョ(番外編追加)

確かにわけがわからなすぎる。カナさんが昔からの知り合いなのはわかったけど、だからって何故私をここに連れて来たのか。
そんな困惑が見て取れたのだろう。ナオさんはやけに真面目な顔になって背筋を伸ばした。

な…何を言われるんだろう。正直怖い…

「杏と俺が出会ったのって…本当は今から3年前まで遡るんだ」
「……え?」

3年前?
…そんなの嘘だ。だって、私達の出会いはボヌールで___

「杏は覚えてなくて当然だと思う。…これに見覚えある?」
「え?」

そう言ってナオさんがスーツの内ポケットから取り出したのは一枚のハンカチ。薄い桃色の生地にレースの刺繍が施されたそれにはどこか既視感があるような…

「……あっ!」

「思い出した? これ杏のだよ」

確かにそうだ。
…でもどうしてこんなものをナオさんが?

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