蜜月なカノジョ(番外編追加)
「でもそんな願いも虚しく1年以上が経った頃…ボヌールであの女の子を見た時には心臓が止まるかと思うくらいびっくりした。自分でも経験したことがないくらいの感情でいっぱいになって、その偶然に、…奇跡に全身が震えた」
どうしよう…
ナオさんが…どんどん滲んで見えなくなっていく…
「これは神様が与えてくれた奇跡だと思った。だから俺はなんとか杏と接点を持とうと必死になって…。少しずつ親しくなっていくうちにどうしてあの日杏があんなに震えてたのか、その理由がわかって。それと同時にそれだけ怖かったにもかかわらず俺を助けるために勇気を振り絞ってくれたのかと思ったら…もうなんか言葉にできないくらい胸が苦しくなって。愛おしくて堪らなくなって。…そして杏のことを守りたいと思ったんだ」
「ナオ、さん…」
震える手を大きな手がギュッと包み込んでくれる。
途端に私の涙腺は崩壊してしまって。
もうナオさんの顔なんて完全に見えなくなってしまった。