蜜月なカノジョ(番外編追加)

その意味がわかった途端、目の前がスーッと暗くなっていく感覚に襲われた。
すぐにナオさんの手が背中を支えてくれて何事もなく済んだけれど。

「ばか! 杏はその辺の免疫がないって言っただろ! 調子にのって怖がらせること言うなって!」
「あっ…ごめん! ついいつものノリで…杏ちゃんごめんなさい、悪気はなかったの」
「い、いえっ! こちらこそごめんなさい。こんなことで大袈裟に反応してしまって…」
「ううん、あなたのことは直斗から聞いてたから。私こそ配慮が足らなかったわ。ほんとにごめんなさいね」

そう言って頭を下げたカナさんは本気で私を心配してくれている。
どうしてそこまで…?

「カナは俺が女装するにあたって全面的に協力してくれた奴なんだ」
「…え?」
「見ての通りこういう奴だから。これ以上うってつけの人選なんてないだろ?」
「……」

確かに。目の前にいるのはどこからどう見てもパーフェクトな女性。
見た目はもちろん、所作の一つ一つまでが美しい。
こんな人が実は男性だなんて言われても…やっぱり信じられない。

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