蜜月なカノジョ(番外編追加)
まるで昔見たお見合い番組みたいだ。
目の前には緊張で強ばった顔をした男性が立っていて、その右手がスッと差し出されるなんて。完全にテレビの世界の出来事。
…だったはずなのに。これは紛れもなく今ここにある現実。
「……はい。こんな私でいいのなら、喜んでお願いします」
そっと自分の右手を重ねると、ぱぁっと花が咲いていくようにナオさんの笑顔が弾けた。きっと私も同じような顔をしているんだと思う。
でもその素敵な笑顔はすぐに見えなくなってしまった。
何故ならあっという間に体が密着してしまったから。
「杏…ありがとう…」
「そんな…それはこっちのセリフです。…でも本当にいいんですか? さっきも言いましたけど、お付き合いしても私は普通の人みたいにナオさんを満足させてあげられないかもしれないんですよ? それどころか迷惑を___んぅっ…!」
その言葉は最後まで伝えることは叶わなかった。
早急に唇を重ねてきたナオさんによって言葉ごと奪われてしまったから。
そのキスはいつもよりも強引で…甘い。