蜜月なカノジョ(番外編追加)
「…杏はさ、俺に対しての不安はないけど自分に対してはあるって言ってたよね?」
「え? あ、はい…」
「それは俺だって同じだよ。俺はどんな杏でも受け入れる自信があるけど、自分の嫌なところを見て杏が幻滅したりしないかって、そういう不安が常にある」
「幻滅だなんて、そんな…」
「うん。だからお互い考えてることは同じってことが言いたいんだ」
「同じ…?」
「そう。本当に好きだから相手を受け入れられるけど、一方で好きだからこそ相手に嫌われるのが怖い」
好きだからこそ、怖い…
「杏は男性恐怖症だからこそ俺とどう向き合っていいかわからないんだよね?」
「…はい」
「俺もそんな杏を怖がらせずに、でも恋人としてどう振る舞っていくのが正解なのかわからないからこそ怖い。自分が気付かないところで杏を傷つけたらどうしようって」
「ナオさん…」
ナオさんの右手が私の頬を撫でる。
それだけでうっとりしてしまうほどに、どうしてだかこの手は安心できる。
…違う、好きだから安心できるんだ。