蜜月なカノジョ(番外編追加)
散々耳を舐った舌が首筋を伝って鎖骨の辺りへと移動する。
いきなりの展開に頭はほぼパニック状態。
なのに与えられる快感にただ声を上げることしかできない自分がいる。
なんなの、これはっ…?!
「…ナオ、さっ…!」
「杏、嫌なら嫌って言って」
「っ…!」
突然鎖骨の下あたりにチクッと痛みが走った。
何?!と考える暇もなくその場所を慈しむように舌がなぞっていく。
背中から湧き上がってくる言葉にできない感覚にどうしていいかわからず、必死で目の前の背中にしがみついた。
「杏、怖い? 怖いなら言って」
「っこ、怖…く、ない、ですっ…」
「本当に? 無理してない?」
言葉を発するのもやっとで。コクコクと頷いて意思表示するのが精一杯。
…そう。怖いという感情は不思議なほどになかった。
経験したことのない領域への戸惑いはあっても、何故だかされていることへの嫌悪感は全くない。日中、お店の常連さんと話しているだけで震えが止まらなくなってしまったはずのこの私が。
相手がナオさんだと思うだけでこんなにも違うだなんて。
誰よりも信じられないのはこの私自身かもしれない。