蜜月なカノジョ(番外編追加)

それからの俺は変わった。
まずはそのストーカー女を死ぬ気で見つけ出し、これでもかと証拠を集めて警察に突き出すと、もう金輪際女とは仕事以外では関わらない、そう固く決意した。

犯罪を犯したのは女だが、そのきっかけを作ってしまったのは紛れもなくこの俺自身。男としての欲さえ出さなければこんなことにならなかったのだと自分を追い込み、結果、女に好意を寄せられないためには自分が女になればいいという極論へと辿り着いた。

当然友人達は反対した。世の中そんな女ばかりじゃないし不運が重なっただけだとも。
だからお前がそこまでする必要はないと散々説得もされたが、既に投げやりな状態だった俺にその声は届かなかった。


学生時代の同期にカナという友人がいた。本名を奏多というそいつは、体は男だが心は女、そういう奴だった。
出会った頃から女だと信じて疑わなかった俺はそれを知ったとき驚愕したが、奴とは性別など超越したところで深い友情を築いていけた。
人生においてかけがえのない友人の一人だ。

真っ先に俺が向かったのはカナのところだ。
いきなり女になると言い出した俺に当然の如くあいつは驚き、そしてやはり反対した。
が、本気で女と関わることが嫌になってしまった俺を見るに見かねたのか、最終的には全面的に協力してくれた。

『誰かを愛することだけは絶対に諦めちゃダメよ』

そう言い残して。

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