蜜月なカノジョ(番外編追加)
「あっ、ごめんなさい!」
「大丈夫大丈夫。こちらこそごめんね? なんか動揺させちゃったみたいで…」
「あ、いえ…」
そうは言いつつも明らかに彼女の様子が変わった。
気まずそうに俯いたまま顔を上げようとしない。
これ以上追及するのは気が引けるが、今後のことを考えれば確認しておかないわけにもいかない。
「…もしかして、何か悩み事でもあるの?」
「えっ…?」
「ごめんね、何かそんな気がしたから。私でよければ何でも聞くから言ってね?」
「……」
まさかそんなことを言われるとは夢にも思っていなかったのだろう。困惑しながら視線を右に左に泳がせて時折チラッと俺の様子を伺っている。
その後もそわそわと随分バツが悪そうにしていたが、やがて彼女の視線が俺の方向で止まった。
「あ、あの…」
「うん」
「こ、こんなことをオーナーさんに話すのもどうかと思うんですけど…」
「オーナーじゃなくてナオね」
「えっ? は、はい…な、ナオさんに」
「うん。それで? 悩んでるなら何でも言って?」
「は、はい…。実は…今まで人に言ったことはないんですけど…」
そこまで一度言葉を切った彼女は再び俯てしまう。自分の中で口にすべきかどうかを最後まで葛藤していたのだろう。
結構な時間が経過した後、やがて彼女は意を決したように顔を上げた。