蜜月なカノジョ(番外編追加)
恋するオカマの奮闘記③
「ナオとの同居生活はどーお?」
おもむろに中から聞こえてきた声にドアノブにかけていた手が止まった。
「はい。すごく楽しいです」
「あいつのことだから杏ちゃんのこと振り回してるんでしょ~?」
「……」
葵の奴、人が聞いてないと思っていつもこんなこと言ってんのか?
ったく、油断も隙も___
「とんでもないです! 振り回してるのは私の方で…ナオさんには本当に感謝の気持ちしかないんです。私、これまでは自分が不幸な人生を送ってるんだとばかり思ってたんですけど…ナオさんに出会ってからその考えが根っこからひっくり返ったっていうか。毎日が楽しくて楽しくて、こんなに安心して日々を過ごせることが今でも信じられなくて___。ほんとに、ボヌールに…ナオさんに出会えて良かったって、心の底からそう思ってるんです」
いつになく口数の多い杏の声は弾んでいる。
どんな顔をしているのか想像するだけでこっちまで緩んできそうになったが、それも次に続いた言葉に一瞬にして引っ込んでしまった。
「…でもそれにもタイムリミットがあるってことも常に心の中にあって」