蜜月なカノジョ(番外編追加)

そんなことは何度だって考えた。
このままではいけない。いつかは全てを話さなければならないと。
そして「ナオ」へ全幅の信頼を寄せてくれている杏なら、戸惑いながらも最終的には俺を受け入れてくれるのではないか、そんな淡い期待をしてしまう自分がいる。

だが万が一真逆の結果になってしまったら。
それは即ち永遠に杏を失ってしまうことを意味する。
俺が男だったという事実は、理由はどうあれ杏にとっては最大の裏切りであることに違いはない。

もし、もしも最悪の結果を迎えてしまったら___

「はぁ~。杏ちゃんの男性恐怖症も重度だけど、あんたの杏ちゃん命も大概ね…。でも本当にいいの? 今のままじゃ一生男として報われないのよ? 私は杏ちゃんならわかってくれると思うわよ?」
「…それでも杏にとっては最大の裏切りであることに違いはないだろ。俺は何よりも杏に笑顔で毎日を過ごしてほしいんだ。それを守ってやれるのが俺なら…たとえ男として報われなくても、このままナオとして___」
「それである日突然別の男に連れて行かれてもいいっていうの?」
「…っ、それは…。でも、俺が杏を傷つけるようなことは…」

すっかり男に戻っている俺に葵が心底呆れたように溜め息を吐いた。

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