蜜月なカノジョ(番外編追加)

そんなことが現実となったら俺にとってどれだけ幸せなことか。

でも杏の心の傷は俺たちが考えている以上にずっとずっと深い。
そんなに単純な問題じゃないというのは今最も近くにいる俺が一番よくわかっている。だからこそ二の足を踏んでしまうのだ。

「…まぁいいわ。どっちにしろあんたにも杏ちゃんにも幸せになってほしいってのが私の本音だから。万が一のことがあってもできる限りのフォローはしてあげるわよ」
「…サンキュ」
「ほーんと、なんだかんだあんた達って似た者同士よね~。相手のことばっかり考えすぎて自分の欲に鈍感っていうか…見ててじれったいったらないわよ」
「うるせーな…」
「はいはい。まぁせいぜいいつかやってくるXデーまでぐるぐる悩んでなさい。じゃあねぇ~! あ、今月目標の1.5倍の売り上げ達成してるから。ご褒美楽しみにしてますよ、オーナー!」
「誰がオーナー!だよ、ったく…」


調子のいい葵に呆れかえりながらも、言われた言葉はズシリと重く心にのしかかっていた。

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