蜜月なカノジョ(番外編追加)




「はぁっはぁっはぁっ……どこに行ったんだ…!」

杏を見失ってから既に4時間。辺りはすっかり漆黒の闇となっていた。
街灯があるところならまだいいが、もしも人気の少ない場所にいるのだとしたら…一刻でも早く見つけなければ危険だ。

変わらず電話をかけ続けているが一向に繋がる気配はない。
杏は荷物も持たずに逃げ出したがおそらくスマホは所持しているはずだ。以前俺が携帯だけは肌身離さずに身につけろとアドバイスしてからというもの、彼女はそれに忠実に従っていた。それだけ自分の身を案じていたからだ。

今彼女はどこにいるのか。無事でいてくれるのか。
秘密がばれたことなんてもはやどうでもよく、今はただただ杏が無事でいてほしい、その一心だけだった。


ピリリリリリリッ!


「_____っ、もしもしっ! 杏っ?!」

その時突如鳴り響いた携帯に、相手を確認することもせずガバッと耳を当てた。

『はぁ? 違うわよ。っていうかあんた何やってんの? 約束の時間とっくに過ぎてるじゃない!』
「______」

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