蜜月なカノジョ(番外編追加)
「頼むから無事でいてくれっ…!」
もう一度電話をかけようと画面をタップしたところで突然とある場所が頭の中にフラッシュバックした。
それはここから20分ほど歩いたところにある公園で、杏との再会後、ボヌールで数回顔を合わせた後にある日偶然プライベートで鉢合わせした場所だった。
互いの家から決して近いとは言えない場所での偶然劇に、驚くと同時になんだか運命的なものを感じて二人で笑い合ったのを覚えている。
「まさか____」
それは完全なる直感だった。
___杏はそこにいる。
おそらく彼女自身も今自分がどこにいるかもわかっていない、無意識での行動だろう。だが何故だかそこに行けば彼女に会える、そう思えてならなかった。
もし見つけることが出来なければ俺はもう一生杏に会うことは許されない。
それほどの覚悟と確信を抱きながら、俺は全力で反対方向へと駆け出した。