蜜月なカノジョ(番外編追加)




「はぁっはぁっはぁっ…まさかここにもいないのか…?」

公園に辿り着いてそこら中を探し回るが杏の姿は見当たらない。
もしかして見当違いだったのだろうか____

そんな不安が襲いかかってきたところで、あれからずっとかけ続けていた電話のコール音がプツッと止まった。
ハッとして画面を見れば『通話中』の文字。ぶわっと全身に息吹が吹き込まれたような感覚に包まれながら慌ててスマホを手にし直す。

「____もしもし、杏っ?! よかった、やっと繋がった…!」
『っ…ナオさっ…』

ようやく繋がった…!
そう喜んだのも束の間、電話の向こうの杏の様子が明らかにおかしい。泣いているのは俺のせいだとしても、それにしても尋常じゃない取り乱しっぷりに思えた。

____まさか。

必死に落ち着かせようとしても興奮状態にある杏が口にするのは支離滅裂なことばかり。せめて居場所だけでもわかれば…!

『あ~、やーっとおじょうちゃん見ぃつけた~! 全く逃げ足が速いんだから~。ダメでしょう、おじさんのこと置いて行っちゃ』

次の瞬間電話の奥の方から聞こえてきた声に背筋が凍り付いた。

『いやぁっ、離してぇっ!!!』
『うわっ?!』

悲鳴と共にガシャンという音が響くと、そのまま通話不能な状態へと陥ってしまった。

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