蜜月なカノジョ(番外編追加)
その後死ぬ気で大きな公園内を走り回り、通り道からは死角となる草むらの陰に人影がもつれ合うように動いているのを遠目に見つけた時には、全身の血液という血液が全て噴き出すのではないかと思えるほどにカッとなった。
その直後必死に自分を呼ぶ声を聞いてから___俺の記憶は曖昧だ。
はっきりしているのは、本当にギリギリのところで間一髪杏を助けることができたこと。
杏を恐怖に陥れた男をボコボコにして警察に突きだしたということ。
…そして声が枯れそうなくらいに必死に俺の名を叫びながら、杏が残された全ての力を振り絞って俺にしがみついていたということだけ。
全身を震わせながら、号泣しながらも胸に顔を埋めてうわごとのように俺の名を呼び続ける杏の姿に、激しい自責の念に駆られると共に、やはり何があっても彼女を守るのは俺だと固く心に誓ったのだった。