蜜月なカノジョ(番外編追加)
恋するオカマの奮闘記⑤
「杏…おはよ」
「ん…おはよ…ございま…っ…!」
寝ぼけ眼の杏を引き寄せると、まだ目すらまともに開いていないのもお構いなしで唇を塞いだ。突然のことに体を強ばらせたのはほんの一瞬のことで、状況を把握すると同時に杏が脱力していくのがわかる。
深いキスに変わる頃にはフニャフニャのこんにゃく状態で、彼女をこんな風にさせられるのはこの世に自分しかいないと思うだけで叫びたくなるほどの歓喜の渦に包まれる。
最初の頃はほんの触れ合う程度のキスですらどうすればわからないでいた杏も、今では恥ずかしがりながらも自然とそれを受け入れるようになっていた。このまま溶けてなくなってしまうんじゃないかと思えるほどの快感に、杏は気付けば俺の背中に手を回してギュッとしがみついている。
おそらく無意識の行動だと思うが、それがどれだけ俺の情欲に火を注いでいるのかわかっているのだろうか。
「…わかってるわけないよな」
「……え?」
「いや、今日も杏は可愛いって言っただけ」
「…っ」
カーッと面白いように赤色に変化していく顔に思わず笑ってしまう。散々キスに応えておきながら、今更可愛いと言われたくらいでそこまで反応するか?
でもそれでこそ杏だし、そういうところはずっと変わらないでいてほしいとも思う。
まぁ要するにどっぷり嵌まってるってわけで。