蜜月なカノジョ(番外編追加)
「お前…色気もないし男もいないけど、いい奴だな」
「…………なんですってぇ~~~?!!!!!」
「いぃってぇっっっ!!!!!!」
バコンッ!! とけたたましい音と共に響いた絶叫。
聞き覚えのない声の正体は一体誰なのか、もしかしてここには霊が潜んでいるんじゃないかと、その後しばらくスタッフの間でまことしやかに囁かれていたらしい。
俺はバカだ。本当に、どうしようもないバカでヘタレだ。
こんなんじゃいつ杏に振られてもおかしくない。
葵に言われて気付いたというのが癪だが、一番大事なことを見過ごしていたのに気付かせくれたことには感謝しなければ。
事実かどうかもわからないことで勝手に嫉妬して不安になって。杏を守りたいといいながら俺が不安にさせてどうする。
あの話を聞いてからの数日、俺は明らかにいつもと違う行動を取ってしまっていた。具体的に言えば、朝のスキンシップをしなくなった。
したくないわけではなくて、何故かできないのだ。
まずそもそもが眠れない。自分にくっつく杏を見ていたら、色んなことが頭に浮かんで悶々として眠れなくなる。浮かんでくるのは全てネガティブなことばかり。
あの杏と付き合っていたという男はどんな奴なのか。
その男にも酷い目に遭わされたのだろうか。
もしかして…その男は杏の「女としての姿」を知っているのだろうか。
考え出したらもう止まらなくなり、気が付けば一晩中そんな有様なのだ。