蜜月なカノジョ(番外編追加)



「杏~、ただいま~~~~っ!!!」


おかえりなさーいっ!
いつもならすぐにそう返ってくるはずの声が今日は返ってこない。
…あれ、もしかしてまだ帰っていないとか?
そう思って足元を見ればきちんと杏の靴が並べられている。

「…杏? ただいまー」
「………お帰りなさい」

どうしたんだと急いで靴を脱いでいたらようやく顔を出した杏が小さな声でそう言った。しかもいつもなら玄関まで出迎えるのに今日はリビングの扉からひょこっと顔を出しただけ。

いや、これはこれで可愛いんだけど…なんかおかしくないか?

「杏? どうかしたのか?」
「……いえ、何にも? 今日も遅くまでお疲れ様でした。ご飯できてますから食べてくださいね」
「……」

ニコッと見せた笑顔は…明らかに作りものだとわかった。
動かない筋肉を無理矢理持ち上げて笑っている、そんな感じ。言うなりまるで逃げるように部屋に入ってしまった杏は…やっぱりどこかおかしい。

何だ? 朝は普通だったのに。
一体何があった?

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