蜜月なカノジョ(番外編追加)

「あ、杏?!」

暗闇のせいで視界が不明瞭だが、僅かに差し込む月の光に照らされているのは間違いなく杏だ。

…杏が何故か俺に馬乗りになっている。
全く状況が理解できず、頭の中であぁ、これは夢なのか。
杏欠乏症が見せる欲求不満の象徴なのだと妙に納得した。

…のだが。

「んぅっ…?」

ぶちゅっと不格好な音をたててぶつかり合った唇の感触に、夢現だった脳ミソに冷や水がぶっかけられた。夢にしてはやけにリアル過ぎる。
……まさか現実かっ?!

「あ、杏っ…ん、ぅっ…!」

名を呼ぼうと口を開ければ強引に生温かい感触が侵入してきた。何かなんて考えるまでもない。毎日食べるほどに味わっている俺にわからないわけがない。
わけがわからずパニクる俺ととにかく必死にのしかかってくる杏。
時折ガチンと歯がぶつかり合うし、揉み合うような状況でのキスだから互いに口の周りは唾液でベタベタだ。

つーか一体何がどーなってんだ?!

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