蜜月なカノジョ(番外編追加)
「ほら、私って今まで軽い付き合いとか多かったじゃん? だから今回は慎重に物事を進めようと思って純情路線で攻めてたんだけど…彼からすればもったいつけた焦らし女にしか感じなかったみたいで。完全に作戦失敗」
「付き合ってどれくらいだっけ?」
「2ヶ月」
「2ヶ月かぁ~。そりゃビミョーなところだね。それまでの男と言えばそれまでだし、でも男としてはいい加減焦れるのもわかる気がするし…。どうすんの、別れんの?」
「そんなの絶対やだよ! でも今更路線変更するのもなぁ…」
「いいじゃーん! なんだかんだ男なんて奉仕されりゃあ嬉しいに決まってるんだからさ。あなたと別れたくない!好きなのっ!とか言って押し倒しちゃえばこっちのもんだって」
「そうかな~?」
「そうだって! あんたの悩殺テクの出番よっ!」
「え~~?? 悩殺って…きゃっははは…!」
悩殺テク…
聞いたこともない単語を脳内で反復したところで慌てて動きを再開する。
大変、ただでさえ忙しい時間帯なのに油を売ってる暇なんて一秒だってない!
それから無心で片付けに集中したけれど、一度頭にこびりついてしまった会話はいつまでも消えてくれることはなかった。