蜜月なカノジョ(番外編追加)
「もったいつけた焦らし女…」
テーブルに並んだ料理を見ながらぼーーーっと考える。
今日たまたま聞こえてきたお客さんの会話。とても人ごとだとは思えなくて、いけないとは思いながらもがっつり聞いてしまった。
2ヶ月焦らした結果別れ話を切り出されたのだと。
私とナオさんが再会してから2年。一緒に生活するようになってからは8ヶ月。
そしてお付き合いをするようになってからもうすぐ…2ヶ月。
私達は今も最後の一線を越えてはいない。
「…………」
…私は焦らしているのだろうか。
ナオさんは前に俺は変態共と根本的な部分は変わらないんだと言った。本音ではいつだって私を抱きたいと思ってるしめちゃくちゃにしたいという欲望もあるって。けれどそれ以上に大事にしたいからこそ理性が働くんだって。
でももし本当はそれが辛いのだとしたら?
怖がる私に気をつかって我慢ばかりしているんだとしたら?
ナオさんの隣に並ぶにはあまりにも不釣り合いなちんちくりんなのに、私はそんなナオさんにいつまでも我慢を強いている。ナオさんは優しいからああ言ってくれたけど、本音では私に気を使わなければならない生活に疲れてしまっているのかもしれない。
普通の恋人同士なら男性を満足させてあげるのだって女性としての大事な役目なのに、私にはそれが全くできていない。
こんなので恋人だなんて胸を張って言えるんだろうか…?