蜜月なカノジョ(番外編追加)

「…っ、や、やだな、何にもないですから。ナオさんの気のせいですよ~!」
「……」

全てを見透かされるのが怖くて、思わずナオさんから視線を逸らしてしまった。
あぁ、こんな態度をとったら余計に心が離れていくかもしれないのに。
どうして私はこうも可愛げのない行動しかできないのだろう。ちゃんとしなければと思うのに、そう思えば思うほどにぎこちなくなっていく。
そんな自分が不甲斐なくて情けなくて、また涙が込み上げてきてしまう。

絶対に、絶対に泣いちゃいけない。
ナオさんに嫌な思いをさせてるのは私なのに、そのことで私が泣くなんて絶対にしてはいけないことだ。

耐えろ。
死ぬ気で耐えるんだ、杏…!



「…おやすみ」
「…おやすみなさい…」

その夜、ナオさんはいつになくあっさりとしたキスを額に落とすと、そのまま逃げるようにして布団に潜ってしまった。
最近避けられてると自覚していたけど、ここまでわかりやすい態度は初めてのことで、私はショックのあまり布団に入るなり心も体も凍り付いてしまった。

…どうしよう…どうすればいいの…?
本当にこのままナオさんが離れていっちゃうの…?

やだ、そんなの嫌だよ…!
だって、私はこんなにもナオさんのことが___

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