蜜月なカノジョ(番外編追加)
「あ、杏っ…ん、ぅっ…!」
自分で嫌になるくらいにうまくできない。
イメージしているのはいつもナオさんがしてくれるような蕩けるキスなのに。
どんなに必死になって私がそれを再現しようと思っても、ちっともそんな甘い空気に変わってくれない。それどころか時々ガチンと歯がぶつかるし、上手く焦点を当てられない私のせいでナオさんの口の周りがベタベタになってしまってる。
あぁ、こんなんじゃまた呆れられる。キス一つまともにできない女だって。
でも今の自分にできることがあるとしたらもうこれしかない。
ナオさんは私を抱きたいって言ってくれてた。
もしその気がなくなったのだとしても、今度は私の方から頑張れば、きっとナオさんだって…!
「あ、杏、マジでちょっと待って! 一体何が…」
「い、イヤですっ…!」
「えっ?」
それなのにどうしてなの?
どうしてナオさんはちっとも嬉しそうじゃないの?
私が必死になればなるほど、ナオさんはどんどん困ってる。
困らせたいわけじゃないのに。
ただ喜んで欲しいだけなのに。
一体どうすればいいの?
私には全然わからないよ。
一体どうすれば____