蜜月なカノジョ(番外編追加)
悩める乙女は暴走する②
「…落ち着いた?」
「……はい……ほんとにっ、ごめんなさっ…」
「あぁほら、せっかく涙が止まってたんだから泣かないで。俺なら全然怒ってないんだから。…ね? 落ち着いて」
「はいっ…グズッ…」
トントンと背中を叩かれながら抱きしめられたままの体がゆらゆら揺れる。
まんま赤ちゃんの寝かしつけなこの状況に、恥ずかしいと思うどころか私は幸せ過ぎて涙が止まらない。
どうやったって止まらないったら止まらない。
だって、ずっとずっとこの温もりが恋しくて仕方がなかったのだから。
今目の前にあるナオさんの温もりが…愛おしい。
「ふふ、杏は甘えたさんだね」
「ごめ、なさっ…」
「なんで謝るのさ。むしろ足りないくらいなんだから。もっともっと甘えて」
必死にしがみつく私に負けじと、ナオさんも痛いくらいに私を抱きしめ返してくれる。このまま骨が折れても構わないと思えるくらいに、この痛みすら愛おしくてたまらない。
その幸せに浸る余りにまた泣き出してしまった私に、ナオさんは呆れることなくいつまでもいつまでも、私が落ち着くまでずっと抱きしめ続けてくれた。