蜜月なカノジョ(番外編追加)
「杏は俺だけのものだって独占欲が自分で考えてた以上に強かったみたいで。女としての杏を知ってる奴がどこかにいるのかもと思ったら…おかしくなりそうで、杏とどう向き合っていいかわからなくなった。嫉妬に狂ってめちゃくちゃして杏を怖がらせるんじゃないかって、自分を抑え込むだけで精一杯だったんだ。…ほんとにごめん」
「……」
懺悔するようにそう話したナオさんは本当に苦しそうで。
悩んでたのは自分だけじゃなかったんだと思ったら、不謹慎だけど少しだけ嬉しくなってしまった。
「…ナオさん」
スッと頬に触れた私にナオさんの体がピクリと揺れる。
「確かにあの時そういう話をしてました。…でも事実はそうじゃなくて…」
「…え?」
「というか自分でもよくわからないんです。お付き合いしてたのか…そうじゃないのか。ただ一つだけ言えることは、多分ナオさんが考えてるようなことは何もなかったってことです」
その言葉にナオさんの目が大きく見開かれた。
「何も、なかった…?」
「あ…正確には…き、キスは、しました…」
一瞬だけピクッと眉毛が動いたけれど、その後すぐに頬に触れている手が握りしめられた。
何かを期待しているような、ほんの少しだけ不安がっているような、そんな目で。