蜜月なカノジョ(番外編追加)
「30も過ぎてるくせにこんな嫉妬深い男で…幻滅した?」
するわけがない。
するどころか、むしろ…
「嬉しいです」
「え?」
「嫉妬してもらえるぐらい私のことを想ってくれてるんだなって思えて…すごく幸せです」
「……」
どこか怯えているような顔をしていたナオさんが一瞬呆気にとられて、それからみるみる頬が赤く染まったかと思うと…最後にはこっちが照れてしまうほどに嬉しそうな顔でほわんと笑った。
まるで萎れていた花が活力を得て一気に花開いていく過程を見ているように。
「杏…ありがとう。過去にあったことは消せないけど…これからは辛い思い出なんて思い出せないくらいに俺が杏を大切にしていくから。二人で幸せな思い出をたくさん作っていこう? これから先、ずっと」
「……はい」
きっと今の私はナオさんに負けないほどに幸せな顔をしてるんだろう。
コツンと額をぶつけると、どちらからともなくクスクスと笑った。