蜜月なカノジョ(番外編追加)
「…杏、旅行にいこうか」
「…え?」
「年末に二人でどこかに行こう。…一泊で」
少しの間を空けて言われたその言葉にこくっと息を呑んだ。
この状況でそれを言うということは、つまり…そういうことだよね?
「もちろん杏が嫌がることは何もしないよ。ただ純粋に杏と二人でどこかに行きたいなって思ったんだ」
いつだって私の気持ちを最優先してくれるナオさんらしい。
そんなこと言わなくてももう大丈夫なのに。
だって、ナオさんだから。
ナオさんなら…
「…ううん、行きたいです。ナオさんと一緒に。連れて行ってください」
色んな意味を込めて胸に顔をうずめると、一瞬息を止めたナオさんがまた強く私の背中を引き寄せた。
「じゃあ行こう。二人で一緒に」
「…はい。楽しみにしてます」
心からそう口にすると、はっきりとは見えないけれど、ナオさんがふにゃっと緩みきった顔で笑ったような気がした。