蜜月なカノジョ(番外編追加)
第四章
そうだ、旅に出よう①
いつぶりだろう。こんなに楽しい気持ちで新しい服を買ったのは。
…ううん、もしかしたらこれが初めてなのかもしれない。
いつだって私の軸にあったのは『どうやったら自分の身を守れるか』
それだけだったから。
こうして誰かに少しでも良く見て欲しくて何かを選ぶということ自体…きっと初めてだ。
「…ふふっ」
ダメだ。気が付けば顔が緩んでしまう。
周りに人がたくさんいる状況でこんな顔してたら完全に怪しい人認定だ。
もっと気を引き締めなきゃ。気を…
「あ」
ふと、隣のテナントに飾られている綺麗な下着が目に入った。
下着…うわわわっ…!
カーッと勝手に顔が熱くなってきて慌てふためく。
締まりのない顔にタコみたいな顔まで。このままじゃ変質者として職務質問されかねない。
自分がおまわりさんのお世話になる側になってどうするのっ!
でも…一緒に旅行するってことは、そういうこと…だよね?
ナオさんは嫌がることはしないって言ってたし、実際そういうことをしなくても純粋に楽しんでくれると思う。
…けど、今更拒む理由なんてない。
それに、本当はとっくに気付いてるのだ。ナオさんがどうこうじゃなくて、何よりも私自身がそうなりたいと思ってるってことに。
ナオさんと、心も体も一つになりたいって…