蜜月なカノジョ(番外編追加)

「あーんちゃんっ!」
「ひょあっ?!!」

突然後ろから肩を叩かれて聞いたこともないような声が出た。
びっくりした私に負けないくらい驚いた顔をしているのは…

「葵さん!」
「驚かせちゃったみたいでごめんね? 買い物してたらなんか似てる子がいるな~って思って。近づいたらやっぱり杏ちゃんだったから。杏ちゃんも買い物? 今日は一人?」
「はい。ナオさんは今日もお仕事みたいで」
「は~、相変わらず忙しくしてんのねぇ。がむしゃらだったのはわかるけど、今はこーんなに可愛い彼女がいるんだから、いい加減仕事もセーブすりゃあいいのに」
「そんな、充分良くしてもらってますから」

ナオさんが忙しいのは年末だからってだけじゃなくて、きっと旅行のためだ。
だから寂しいなんて思わないし、むしろ体が心配になってしまう。

家に帰れば毎日好きな人がいる。
それってものすごく幸せな環境なのだと最近になってようやく実感してきた。

「何買ってたの~?」
「あ、いえっ…」

手にしていた袋を覗き込まれて慌てて視線を目の前のランジェリーショップから逸らした。でもその挙動不審っぷりを葵さんが見逃すはずもなく。
視線を行ったり来たりさせながら…やがて訳知り顔でニヤリと笑った。

< 260 / 400 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop