蜜月なカノジョ(番外編追加)
「荷物はこれだけ? 忘れ物ない?」
「大丈夫です」
「ま、何かあっても現地で調達すればいいけどね。じゃあ乗って」
「はい!」
スマートに開けられた扉に恐縮しつつも、ありがたくエスコートを受けながら助手席に滑り込んだ。疎い私には全くわからないけれど、左ハンドルで座り心地が抜群なこの車はきっとそれなりの高級外車というものなんだろう。
知らぬが仏で詳しいことは聞かないでおこう。うん、そうしよう。
今年も残すところあと数日となった今日、私達は旅へ行く。
「どこに行くんですか?」
「んー、行ってからのお楽しみかな。…あ、でもあんま期待し過ぎないで。行って『ここ?』とか言われたら凹むから」
「あはは、絶対にそんなこと言いませんよ。ナオさんとならどんな場所に行っても楽しいに決まってますから」
「……」
「…ナオさん?」
何かおかしなことでも言ってしまったのだろうか。
急に真顔に戻ったナオさんに首を傾げる。
「!!」
次の瞬間、突然覆い被さってきた影にあっと言う間に目の前が真っ暗になった。
何度か啄むようなキスをされたと思ったら…隙間からちょろっと舌が差し込まれる。
ビクッと体を竦めた私の背中と肩を何度も擦りながら、ナオさんはそのまま動きを緩めることはなかった。