蜜月なカノジョ(番外編追加)
どれくらいそうしていたのか。
完全に放心状態に陥った私が我に返ったのは、最後にチュッともう一度強めにキスをされてからだった。
ハッとすると同時に一気に全身が熱くなっていく。
い、一体何をして…だって、ここ、車の中…!
「…っ、ナオさ…」
「杏さ、お願いだから今から煽りすぎないでくれる?」
「…え?」
「出発する前からこんなんじゃ…俺安全運転で行ける自信ないんだけど」
「…は?」
心底キョトンとする私にナオさんが頬を染めながらわしゃわしゃと髪を掻く。
「あーもう、だからその無自覚が怖いんだって。とにかく、無事に着きたいなら不必要に俺を煽らないこと。じゃないと目的地が家になってそのままベッドに直行するからね?」
「……へ?」
ベッドって…ベッド…
ボンッ!!!
「そういう顔も反則。向こうに着いたらいくらでも煽ってくれて構わないから。それまではちょっとだけ我慢、ね?」
チュッともう一度軽快な音が鳴ると、ふぅっと息を整えたナオさんがハンドルを握りしめた。
その姿はもう、一枚の絵画になるってくらいに様になってて。カッコ良くて。
きっと世の女性はこぞってキャーキャー黄色い悲鳴を上げること間違いなしなんだろうと思う。