蜜月なカノジョ(番外編追加)

…けど。けど!
あわわと押さえた唇が熱い。っていうか体中が熱い。

何、この漂う匂いだけでも酔いそうなほどの甘ったるい空気は。
こういうのをいい雰囲気って言うのだろうか…?

「あーん、そんな艶っぽい顔してるとこのまま部屋に戻るよ?」
「はわっ! う、嘘です違いますごめんなさいっ! 行きたいです連れてってくださいおねがいしますっ!!!」

息継ぎなしに一気に捲し立てると、一瞬呆気にとられたナオさんがブハッと吹きだした。

「あははははっ…! 杏ってばマジで面白すぎる…」
「うぅっ、これでも私は真剣なんですから笑わないでください…」
「ははっ、ごめんごめん。もーマジで可愛すぎて困る。とにかく安全運転で行きたいから。煽るのと可愛すぎるのはしばらく我慢な?」
「…っ!」

スルッと指の背で私の唇をなぞると、ナオさんは何の迷いもなくその指を自分の唇に寄せてチュッと音を鳴らした。
カーッと顔が赤くなっていくのが鏡を見なくてもわかる。

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