蜜月なカノジョ(番外編追加)

確かにずっと前にそんな話をしたかもしれない。
偶然テレビで見かけた風景が忘れられなくて。
雪を見ながら入る温泉がものすごく気持ちよさそうで。
一面銀世界の中を手を繋いで歩いてるカップルの後ろ姿が…本当に幸せそうで。

自分には到底叶えられそうにないその光景が、眩しくて…痛かった。

そんな気持ちを誤魔化すように話したことを、ナオさんはずっと覚えてたの?

「杏がこれまでしたかったことも、これからしてみたいことも、全部俺が叶えるから。だから杏には何でも言って欲しい」
「ナオさん…」
「あ。泣くのはまだ待ってくれる? そんな顔されると目的地まで辿り着けずにここで押し倒したくなるから」
「!! なっ、泣いてませんっ!!!」

ズビッと明らかにおかしな音を思いっきり響かせながら、クスクス笑うナオさんの声をBGMに再び窓の外に釘付けになった。

< 268 / 400 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop