蜜月なカノジョ(番外編追加)
結局三時間ほどで辿り着いたのは銀世界の温泉街。
古き良き時代を感じさせるその街並みは何とも趣があって美しい。
中央に流れる川に沿って温泉宿が建ち並び、そのあちらこちらから上がる湯煙に一面の雪景色。
まさに自分が来てみたいと思っていた風景がそこにはあった。
「すごいすごいすごい…! こんなところに来れるなんて夢みたいです! ナオさんって魔法使いみたいですねっ!」
車から降りるなり小躍りしながらそう捲し立てると、ナオさんが目を細めながらとても優しく笑ってくれた。
ちょっと頬が赤く見えるのは寒さのせいかな?
「俺はそんなに喜んでくれる杏が見られて嬉しいよ。でもまだ来たばっかりだから。お楽しみはまだまだこれからだよ」
「え…どこかに行くんですか?」
「当たり前だろー? まだチェックインには早いから。この辺りをゆっくり散策しよう。田舎だから賑やかなものはないけど、この地域らしさをじっくり楽しもう」
「っはいっ!」