蜜月なカノジョ(番外編追加)

「ご、ごめんなさいっ! は、離して…はな、はな___離れないっ…!!」

慌てて腕を突っ張ったものの、背中に回された手が動きを封じ込めてうんともすんとも距離がとれない。

「な、ナオさんっ! 人がたくさんいますからっ!!」
「えー? でも先に抱きついてきたのは杏でしょ?」
「そ、それはっ、何かある度にハグしあってたいつもの癖が出たっていうかっ…! とととととにかくっ、ごめんなさい、今はもう勘弁してくださいっ!!」
「え~、せっかく気持ち良かったのに…残念」

キモチヨカッタッテナニガデスカ…!
そう叫びたいけれど、何やらニヤニヤしているナオさんの顔が恐ろしくて、それ以上突っ込むことはやめておいた。

「ま、ここだけでも結構時間が潰せそうだしゆっくり見て回ろうか」
「そうですね!」

そうして再び手を繋ぐと、グラウンドほどの広さのある会場内を回っていくことにした。
雪像がメインの町おこしイベントのようだけど、見ればちょこちょこと出店のようなものがある。寒いからか体が温まるような食べ物が多く見られて、地元の人やおそらく観光客と思われる人が列を作っていた。

ふとこちらを見たナオさんと目が合うと、すぐにいつものように穏やかな微笑みを向けてくれる。
条件反射のようにトクンと胸が鼓動を打つと、そこからはどんどんどんどん駆け足で落ち着かなくなっていく。

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