蜜月なカノジョ(番外編追加)
「ん?」
「な、なんでもないですっ…!」
誤魔化すように慌てて雪像に目を移したけれど、横からは今もびしびしとナオさんからの視線を感じて、周りの雪が溶けだしちゃうんじゃないかって思うくらいに顔が熱くてたまらない。
今更だけど…ナオさんってものすごくカッコイイんだ。
いや、本当に今更何言ってんだって話なんだけど、始まりが「ナオさん」だった私にとって「直斗さん」はまだまだ違う人のように見えてしまうことがある。
特にこうして「恋人同士」として時を刻んでいるなら尚更のこと。
よくよく考えればお付き合いをするようになってから、こうして白昼堂々二人きりできちんとデートをしたのは初めてと言っていいのかもしれない。
ナオさんは忙しくて土日にいないなんてことはザラだし、出掛けたとしてもそんな「ナオさん」と外で落ち合ってちょっとした時間を過ごすってことが多かった。たまの休みはゆっくりして欲しくて二人おうちでまったり…ってことがほとんどだったし。
ナオさんは私に対して申し訳ないって思ってるみたいだけど、むしろまだまだ男性としてのナオさんに慣れきっていない私にとっては、そういうスローステップこそがありがたかったりして。
スキンシップが濃厚になってきてるのは事実だけど、こういういかにもな恋人イベントは初めてなんだと自覚した途端、なんだか一気に緊張感が増してきた。