蜜月なカノジョ(番外編追加)
そうだ、旅に出よう②
何とも言葉に出来ない空気が漂っているのが私にもわかる。
だって、まるでここだけ時間が止まってしまったかのように周囲の賑わいも何もかも聞こえなくなってしまったから。
しばらくナオさんだけに向いていた目がふと隣に立つ私を捉えると、その女性はまた驚いたように目を見開いた。
「え……もしかして……カノ、ジョ…?」
絞り出すように出された声は震えていて。
いつの間にか平常心を取り戻していたナオさんは一瞬私の方に優しい眼差しを向けると、その女性に向かって迷うことなく頷いた。
「あぁ、そうだよ」
「____! そっ、か……そう、なんだ……。そうなんだ…」
言いながらその目にはみるみる涙が溜まっていく。
なんだかその姿を直視しているのがあまりにも苦しくなって、私は繋いでいた手を咄嗟に振りほどいてしまった。
急な行動にナオさんが驚いているけれど、今はその顔すら見られない。
「あ、あの…私、先に戻ってますから」
「え?」
「何かお話があるなら、ゆっくりされてきてください。それじゃあ___」