蜜月なカノジョ(番外編追加)
「ふふっ、すごく素敵な彼女だね」
「あぁ。もうまわりなんて全く見えないくらいに骨抜き状態」
「あははっ! 黒崎君って本気の相手にはそうなるタイプだったんだ。私達が知ってる黒崎君は仕事のできるクールな人って感じだったけど…。うん、本当に良かった。黒崎君、本当にありがとう」
「俺の方こそありがとう。そして昔のことは本当にごめんな。今日こうして偶然会えたのも…そしてその場に杏が居合わせたのも、きっと何かに導かれてのことだと思う。…会えて良かった」
「私も。…杏さん、黒崎君と末永くお幸せに」
「えっ?!」
それってなんだか結婚する男女へのエールみたいじゃないですか?
…って、け、結婚って! 飛躍しすぎだぞ、自分!!
そうやって赤い顔であわあわしている私を、また二人が微笑ましく見ていたことにもてんで気付くはずがなく。
「じゃあ…またね」
「あぁ、またな。上京してくることがあれば久しぶりに皆で集まろうな」
「嬉しいな…いつか絶対ね! ありがとう!」
弾けそうな笑顔を向けてナオさんと私に深々とお辞儀をすると、立花さんは会場の中へと戻っていく。
まだ人が多く残る場所ですぐにその姿は見えなくなった。
そこに残された私達は無言のまま、どちらからともなく固く手を握り合っていた。