蜜月なカノジョ(番外編追加)
「なんかごめんな? 偶然とはいえ不安にさせて」
「そんなこと…嬉しかったです。ナオさんが躊躇わずに私を彼女だって言ってくれて」
「当たり前だろ? 目の前にいたのが誰であれ迷う理由なんかどこにもない」
気持ちがいいくらいにそう断言してくれるナオさんに、好きになったのがこの人で本当に良かったと心の底から思う。
そしてまだまだ自分は弱い人間なのだと痛感する。一瞬でも逃げだそうとしたことが恥ずかしい。
…どんなときでもぶれない強さをもたなきゃ。
「……杏は俺を置いて逃げようとしたよな~」
ぎくぅっ!!
「万が一にも元カノだったとして、杏はそれでも置いていくつもりだったんだ~」
どきぃっ!!!
「悲しいな~。俺ってそんなに信用されてないのか~、愛されてないのかぁ~」
ぐさぐさぐさーーーーっ!!!!
「うぅ゛っ……ごめんなさい…」
それ以外に言葉もございません。
ぐぅの音どころかチョキもパーも出ません。
しょんぼり項垂れてしまった私の頭上でクスッと笑い声がしたような気がしたけど、どっちにしてもナオさんの指摘の通りだ。
自分が反対の立場だったら…きっと悲しくてたまらないと思う。