蜜月なカノジョ(番外編追加)
何度も何度も啄むようなキスを繰り返しながら、やがてそれが深いものへと変わっていく。最初は息をすることすらままならなかったはずの私が、いつの間にかそれを自然と受け入れ、そして自分からももっともっとと求めていた。
そこに二人が重ねてきた確かな時間を感じる。
「あ…」
背中を直に撫でられたと同時にパサリと音をたてて浴衣が滑り落ちていく。
「杏、大丈夫だから。…見せて?」
「…っ」
咄嗟に前で交差させた手にナオさんの大きな手が重なる。
明らかに挙動不審に目を泳がせながら顔を上げると、ナオさんは想像していたよりもずっとずっと優しい眼差しで私を見つめていた。
その瞳を見た瞬間じわりと視界が滲んでしまうほど、穏やかな顔で。
気がつけば強ばっていた体からは力が抜けていて、まるで魔法にかかったかのように自分をさらけ出すことができた。
すぐに同じように浴衣を脱いだナオさんを見ても、少しも怖いだなんて思わなかった。
それどころか美しいとすら思った。
男の人にこんな表現が正しいのかはわからないけれど、正真正銘男性そのものだったナオさんの体は、うっとりするほどに綺麗で。
「杏…」
「ナオさん…」
そうして互いの肌と肌がピタリと吸い付くように寄り添い合う。