蜜月なカノジョ(番外編追加)
そこからのことは、正直あまり覚えていない。
というよりただただ必死で、細かいことを覚えているような余裕なんてなかった。
そんな中でもはっきりとしているのは、ナオさんが終始とにかく優しかったということ。
ちっとも怖くなんてないのに、どうしてだか勝手に震えて強ばってしまう私の体を、時間をかけてゆっくりとほぐしていってくれた。
こんな時どうすればいいのかなんて少しもわからない私を、優しく導いてくれた。
蕩けるようなキスで。
甘い言葉で。
少しずつ、少しずつ。
そうして私の中を経験したことのない痛みが貫いた瞬間____
気がつけばぼろぼろと涙を流している自分がいた。
ナオさんはオロオロしながら何度も謝っていたけど、そうじゃない。
もちろん痛くなかったって言ったら嘘になる。
というか信じられないくらい痛かった。
…でも、その痛みこそが嬉しくてたまらなかったんだ。
こんな私でも、一人の女性としての喜びを知ることができたんだって。
そしてその痛みを与えてくれたのが、他でもない世界で一番大好きな人だったってことに。
痛みよりも喜びが、私の心と体を埋め尽くしていったんだ。