蜜月なカノジョ(番外編追加)








「う…ん…」

さわさわと、瞼に何かが触れる。
くすぐったくて身を捩ろうとしたけれど、何故か少しも動かすことができない。

「んっ…」

それでも眠気には勝てずに目を閉じていたら、また瞼に何かが触れた。

「杏、おはよ」
「……」

ぼんやりと目を開けた私の視界に、見目麗しい男の人の顔が映った。
頭も体も全く覚醒していなくともはっきり認識できるほどに、それはそれは完璧に整った美しい造形の顔が。

「ふふ、寝ぼけた杏も可愛いよ」
「……」

ぼーっと目の前の美しい顔に見とれているうちに、チュッと唇で音がして温かいものに包まれていた。
燃えるように熱い肌が、一回り小さな私の体をぎゅうぎゅうに抱きしめている。

「あぁ、幸せだ…」
「……ナオ、さん…?」
「うん?」

ほんの少しだけ隙間をつくって顔を覗き込んできたその人に、私はようやくこれが夢でも幻でもないのだと認識していく。


…そうだ。
私は昨日、ついに____

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