蜜月なカノジョ(番外編追加)


「俺に全てを捧げてくれてありがとう。俺の全てを受け入れてくれてありがとう。俺を好きになってくれてありがとう。…俺に出逢ってくれてありがとう」

「ナオさん…」

心に語りかけるように紡がれた一つ一つの言葉に、張り裂けそうなほどに胸が苦しくなって、いっぱいになって。
どうやったって涙を止めることなんてできなかった。

「杏、好きだよ。心の底から。これからもずっと大切にする」
「ナオさ…ナオさんっ…!」

飛びこんでいけば手を広げて待ってくれている人がいる。
いつだって広い心で私を受け止めてくれる人がいる。


「ナオさん…私も、私もナオさんが大好きですっ…」


ナオさんを好きになってよかった。
ナオさんに出逢えてよかった。
あの日、勇気を出して本当によかった。
あの日の自分を抱きしめてうんと褒めてあげたい。


…女の子に生まれて、よかった。


私は今日、愛する人の腕に包まれながら、生まれて初めて自分が女であることを心から幸せなことだと思った。

< 311 / 400 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop