蜜月なカノジョ(番外編追加)
「わぁ、すっごく素敵…!」
ギャーギャー騒いでいるうちにあっという間に辿り着いたのは、まだ外観もピカピカの綺麗なマンションだった。十階ほどのマンションだけど見るからに高級だとわかるそれは、和モダンな造りが見る人の目を奪う、とっても素敵なものだ。
「インターホン鳴らすからちょっと待っててね~」
そう言うなり手慣れた動きでカナさんがピピッと部屋番号を押している。
一言二言やりとりをすると、やがてカチッという音と共に目の前のドアが開いた。
「さ、行きましょ」
「は、はいっ…」
「杏、大丈夫だよ。二人ともすごくいい人だから。緊張しないで楽しもう」
「は、はい…!」
言葉とは裏腹に相変わらずガッチガチの私に笑いながら、ナオさんはいつものようにスマートにエスコートして中へと導いてくれた。
ナオさんとの旅行からもうすぐで一ヶ月。
年も明けて落ち着いた頃、突然ナオさんから友人宅に一緒に行かないかと誘われた。
ナオさんの友人に私が?! とびっくりしたけれど、なんでも、去年お子さんが生まれたご夫婦からお祝いのお返しに夕食でもとお招きがかかったらしい。
聞けばカナさんの幼なじみで、ナオさんとは仕事仲間だとか。
「緊張するような奴じゃないし、向こうも杏に会いたいって言ってるんだ。特に奥さんが会ってみたいって聞かなくて。だからよかったら一緒に来てくれないかな」
そこまで言われてしまっては断る理由もなく。
…というか、ナオさんのお友達に自分を紹介してもらえることが嬉しくてたまらなかった。