蜜月なカノジョ(番外編追加)
見れば予想以上の美男美女の視線が私一人に注がれている。
「…っ、は、はじめましてっ! 丸山杏と申しますっ! き、今日はお招きいただき有難うございます! いつもナオさんやカナさんには本当にお世話になっていまして、この日が来るのを本当に楽しみにしていました! …あ、あのっ、これ、つまらないものですが、どうぞっ…!」
息つく暇もなく自分でも何を言ってるのか意味不明なほどに捲し立てると、深々と頭を下げながらズイッと手に提げていた紙袋を差し出した。
「………」
けれど、いつまで経ってもうんともすんとも何の反応もない。
……あれ、なんで…?
「……ぷっ!」
私がキツネに抓まれたような顔を上げたのと、ナオさんが吹きだしたのはほぼ同時だった。
それを皮切りに、カナさんやご友人まで笑い出す始末。
ガガーーーン!!!
初っ端からやってしまった…!
「ふふっ、黒崎さんやカナさんから聞いてた通り。とっても素敵な女性なのね」
「本当に。可愛い過ぎて困ってるくらい」
「おぉー、間接的には聞いてたけど、目の前で本人が惚気るのを見るのは何とも感慨深いものがあるなぁ」
「会う度にこの調子だからね。ほんっとはた迷惑もいいところだわ」
落ち込む私とは対照的に、何やら周囲は盛り上がりを見せている。