蜜月なカノジョ(番外編追加)
「…どんな事情があるかは聞かないけど、困った時は遠慮なく言って頂戴ね? 私はもちろん、杏ちゃんにはナオがついてるんだから」
「葵さん…ありがとうございます。でも、大丈夫ですから」
そうは言ったものの、不安げな表情をうまく隠せていなかったに違いない。
それでも強がる私に微笑むと、葵さんはぽんぽんと優しく肩を叩いて「さ、心機一転また頑張りましょ!」と励ましてくれた。
どうして今さら再会なんてするの。
こんな偶然、望んでなんかいなかったのに。
そんなことを考えてしまう自分が嫌で嫌で仕方なかった。
…大丈夫。私はもう、前の私とは違う。
ナオさんに出逢って、新しい自分に生まれ変わったんだから。
今さら昔のことに囚われて今の幸せを見失うようなバカなこと、絶対にしない。
そう。ただ懐かしい同級生に偶然再会した、それだけのこと。
だから何にも起こったりしない。
そんなこと、絶対に。
そうやって必死に打ち消そうとしていた悪い予感は、長くせずして的中してしまうこととなるのだった。