蜜月なカノジョ(番外編追加)



「おじょうちゃ~~ん、何がそんなに嫌なのぉ~?」



泣き声に混じって聞こえてきた声にぞわりと背筋が凍りつく。
恐る恐る後ろを見れば、いつの間にいたのか中年の男性がニヤニヤと卑しい笑みを浮かべながらこちらへと近づいてこようとしていた。

「そんな格好でそんなに泣いて、一体どうしたんだい? おじさんがあったかいところに連れていってあげるからこっちへおいで? さぁ」
「ひっ…!」

互いの距離が数メートルになったところで硬直していた体が弾かれたように駆け出す。それと同時に直視できないような歪んだ顔をした男も走り出した。

「こ、来ないでぇっ!!」
「おーーい、鬼ごっこはいいから早くおいでぇ~!」

妙に楽しそうな声が背後からどんどんどんどん迫ってくる。

いやだ、いやだ、いやだ…!
どうして私はいつもいつも、いつもっ…!

こんな時にまでこうなる運命だなんて、もう本当に絶望しかない。
万が一にもあんな変態に何かされるくらいなら、本気で死んだ方がマシだ。
あんな奴らに全てをズタズタにされてしまうくらいなら、いっそのことこのまま____

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