蜜月なカノジョ(番外編追加)
自分を包み込む大きな手にすりっと頬を寄せて温もりを分けてもらうと、負けじと両手を伸ばしてナオさんの顔を包み込んだ。客観的に見ればなんとも間抜けな姿だけど、互いを見つめる瞳は少しもふざけてなんかいない。
真っ直ぐに、ただ愛する人だけを映している。
「ナオさん、私が強くなったんだとしたら、それはナオさんと一緒にいるこの時間を失いたくないと思うからです。ナオさんは私のとっての光なんです。ナオさんという光がなければ、私は生きている意味すら見失ってしまいます」
「杏…」
ナオさんの右手が私の左手をぐっと掴む。
「重いと言われようとも、たとえ頼まれたって、私はナオさんから離れるつもりはこれっぽっちもありませんから。だから、覚悟しておいてくださいね?」
本当に、自分でも夢にも思わなかった。
いつだって怯えていた私が、誰かをこんなに好きになって、こんなにも強い気持ちで満たされるなんて。
私を変えられるのは、これまでも、これからも、
世界にただ一人、ナオさんだけ。
「誰がいたって関係ない。私が好きなのは、ナオさんただ一人です」
「杏…杏っ…!」
嬉しそうに、けれどどこか泣きそうにくしゃっと顔を歪めると、ナオさんはすごい力で私をその腕の中に閉じ込めた。
骨は軋むし息も出来ないくらいに苦しいけれど、それが嬉しくて堪らない。
「杏…好きだよ。愛してる____」
「私も、大好きです___」
そう。まわりがどうだとか関係ない。
私がナオさんを必要として、ナオさんが私を必要としてくれて。
揺らがない想いがある限り、私達は何があっても大丈夫____