蜜月なカノジョ(番外編追加)
ぴしゃりと切り捨てられてぐっと言葉に詰まる。
それでも諦めきれないのか、小笠原君が縋るように私に視線を向けた。
「すみません、オーナー。…でもどうしても丸山と話がしたいんです。もう絶対にあんなことはしないと誓いますから、だから____」
その時、頭上でチッと忌々しげな舌打が聞こえた。
それは小さな小さな音だったけれど、確かに私の耳には届いた。
ハッとして顔を上げれば、明らかな怒りを滲ませたナオさんがそこにはいて。
まさ、か____
「…お前なぁ____」
「あ、あのっ! 私本当に気にしてないから! でも、小笠原君の気持ちはよくわかったし、充分に伝わったから! だからこれ以上の謝罪はいらないし、もう気にする必要もないから! また仕事頑張ろうね! それじゃあ!!」
周囲の人が振り返るほどの大きな声でそう捲し立てると、驚きにぽかーんとしている小笠原君にガバッと頭を下げて、そのまま逃げるようにその場から立ち去った。
当然のようにナオさんは私を追いかけてきて、そして再び指を絡めてきた。
その行動にギョッとして慌てて後ろを振り返ったけど、尚も呆然としている小笠原君はそのことについては意識がいっていないようで心底ほっとした。
「…杏、ちょっとこっち来て」
「え…?」