蜜月なカノジョ(番外編追加)
必死に懇願する私に、ナオさんははぁっとどこか呆れたように笑いながら、ぐりぐりと額を擦り合わせる。
…地味に痛い。
「…ほんと、杏は無欲だね。俺は杏のためなら何だってしてやるのに。別にあいつだろうとスタッフ全員だろうと、俺はいつ全てを明かしたって構わない。それで見方が変わるようならそれまでだし、俺は何一つ怖くなんてない。…ただ一つ、俺が畏れることがあるとするならば、それは杏を失うことだけだ」
なんて魅惑的な愛の告白なのだろう。
でも、そうやってナオさんが全身全霊で私を守ろうとしてくれているからこそ、私だって彼を守りたいのだ。
「ありがとうございます。ナオさんのその気持ちだけで、私は強くなれます。これからもずっと傍にいてくださいね?」
「嫌だって言われても離れたりしない。たとえ地獄の果てだろうと絶対に」
「ふふっ、できれば天国がいいな」
「もちろん杏が望むならいくらでも連れて行ってあげる。…家に帰ったらすぐにでもね」
ふぅっと耳元で囁かれた甘い誘惑に、ぞくぞくと体が粟立っていく。
あぁほら、ナオさんとこうしているとさっきまでのことなんて全部綺麗に流されていく。
「杏、あいつとは絶対に二人きりになるな。何かあったらすぐに報告すること。これだけは約束して欲しい」
「はい。絶対に約束します」
力強く即答した私に安堵したように頷くと、ナオさんはそっと触れるだけのキスをして再び歩き始めた。
____しっかりと指を絡ませたまま。